全日本トライアルチャンプ GATTIのオフロードテクニック講座(その1)
- 小川友幸選手(通称GATTI)
- GATTI(ガッチ)のスクール
- KRiSPオフロードスクール
- ガッチスクール
- スタンディングとは?
- 具体的なやり方
- 服装と注意点
- 全日本トライアル 中部大会について
こんにちは。ダートバイクプラス オンラインストアです。
全日本トライアルで通算11回のチャンピオン経歴を持つ小川選手(通称GATTI)に、
オフロードテクニックを教えてもらおう!ということで、コラムを連載していただく事になりました。
不定期に掲載をしていく予定ですので、コラムページをチェックしてみてください。
GATTI(ガッチ)ってどんな人?
小川友幸選手(通称GATTI)
初めまして、TEAM MITANI Hondaより、全日本トライアル選手権 国際A級スーパークラスに参戦している小川友幸(通称 ガッチ)です。
http://www.tomoyuki-ogawa.com/
と言われてもまだまだ『トライアル?』と、知らない人が多数かもしれません…
トライアルとは、自然の山の中にある岩・沢・斜面・木の根など、障害物を超えたりし走破を楽しむ競技です。
全日本選手権になるとそのような場所にセクションと呼ばれるコースが10個前後作られ、そちらを2~3周します。
既に違いがあるかもしれませんが、他のモータースポーツと違うのは、唯一スピードを競わない競技な事です。
減点方式が採用され、足を1回着くと1点/2回着くと2点/3回以上は何度でも3点/転倒・バック・コースアウト・タイムオーバーが最大減点の5点となります。
大会では持ち時間が4~5時間ありますが、1つのコース内の持ち時間は1分以内です。
勝者の決め方は点数が少ない方が勝ちとなるので、皆なるべく転倒しないように・足をつかないようにバランスとりながら障害物を超えるようチャレンジします。
レース観戦では選手の表情を間近で見ることができるのもトライアルの良さのひとつ。(オンライン担当鈴木)
通算11回のチャンピオン獲得・連覇記録は現在9回
僕はこのトライアル競技の最高峰クラスを戦っていて、通算11回のチャンピオン獲得・連覇記録は現在9回とし、自らが持つ記録更新に向けて2022年も戦っている最中です。
少し話がさかのぼりますが、オートバイに乗る前はこのトライアル競技の自転車をしていました。体がまだ小さくバイクに乗るには早いという事で、必死に取り組みました。全日本選手権など色々走り、1989年・1990年には13-14歳のミニメットクラスの世界選手権にもチャレンジ。1990年にはミニメットクラス日本人初の世界チャンピオンを獲得することに成功。
その後すぐにバイクに転向し現在に至るとなります。
GATTI(ガッチ)のスクール
KRiSPオフロードスクール
こちらのスクールは聞いたことないかもしれませんね。
こちらは愛知県岡崎市にある『キョウセイドライバーズランド』さんが開催している2輪のスクールです。2輪・4輪の教習所も街中に2校お持ちで、山の中にあるこちらのコースではさらにレベルアップさせてみよう!さらに楽しんでみよう!という企画を含めた色々なレベルの開催がされています。
ただこちらはロードバイクのみでオフロードではありませんでした。そこで僕がキョウセイドライバーズランドさんとお話をし、オフロード版も入れて頂ける事になったという次第です。
こちらは現在定期的な開催ではなく、僕が空いているタイミングにという不定期な開催とはなってはいますが、2022年8月27日(土)に開催が予定されています。
https://www.kotsu-daigaku.jp/krisp/
ガッチスクール
僕は今まで『ガッチスクール』というトライアルをメインにしたスクールを、三重県四日市市をベースに、全国各地・アジア圏で20年以上開催してきています。
ただトライアル車がメインとなり、オフロード車をメインにしたスクールがなかなか開催できていなかったのが実情です。
トライアルの技術は2輪に活かせることがたくさんあります。この技術をオフロード車を乗られている方に伝えてあげたい!という思いから開催の運びとなりました。
初心者の方を対象に考えていて、『未舗装の場所を走ってみたい・林道に入ってみたい・丸太など小さな段差を越えてみたい』というレベルからスタートしています。
是非一度受けて頂き、恐怖心などの克服・技量アップによる安全につなげて頂けたらと思います。
※またトライアルの『ガッチスクール』はかなりの数開催していますし、グループやプライベートなども対応していますので、こちらも気軽に参加やお問い合わせお願いします。
http://tomoyuki-ogawa.net/?page_id=230
テクニック「スタンディング」を学ぼう!
スタンディングとは?
『スタンディング』というのはご存知ですよね?トライアルでいうとバイクの上に立ち上がり、足をつかずに静止する技の事です。この技は物凄く大事だと考えています。バイクはスピードを出すことに意識が行きがちではありますが、スピードを出すロードの選手も含め2輪はバランスが1番重要です。ただ静止することは難しいのですが…(笑)トライアル車は軽く作られているのでコツを掴むと成功する人多いですが、オフロード車などマシンが重くなるにつれてドンドン難しくはなってしまいます…。
具体的なやり方
2輪車なので常に不安定で独り立ちはしません。それを人がまたがってあげてコントロールすることで、足をつかずに止まっていられることが可能となります。簡単に言うとマシンが左に倒れそうになった時に、人間が右側に倒れて、バランスをとるのです。この倒れる量をとにかく少なくすることが重要なのです。さすがにプロのトライアル選手でも倒れ過ぎたバイクをバランスで立て直すことは不可能です(笑)傾いたという自分センサーの精度をあげ、瞬時に人間は反対側の方向に動き始めます。
そのバランスさせる・コントロールするところですが、どこで1番取るでしょうか?正解は足です。足でも足の裏です。ステップの踏みかえイメージですね。レベル高い人ほどバランスとるポイントが下に行くと思います。初心者の人だとハンドルをこじたり、頭を大きく左右に振ったりしがちですが、出来る限りその量を少なくしていき、下に意識を変えていきましょう。ハンドルももちろん使った方が楽なのですが、出来る限りこの意識はなくしてもらった方が、本来のバランスのとり方を覚えられるかと思います。
NG例。上半身だけでバランスを取ろうとしてしまっている。
下半身で操る例。
またハンドルはどちらか(自分の体に合う方向)に切っていただき、路面の接地面を増やすと安定しやすいです。後はステップ意識しマシンを股下で微調整してあげるイメージですね。後はとにかく上半身の力を抜いて、体もリラックスさせ、傾く量を少なくすることを心掛けてください。
ハンドルは切って、接地面を増やす(路面を少し掘る)とイージーになる。
服装と注意点
当たり前ですが、一般道ではやめてください。私有地やパークなどでの実施を。林道などオフロード走行時に着用している防具での実践をお勧めします。
普段着でおこなう場合は、くるぶしが隠れる靴・ズボンの裾を何かで縛ってスペースが出来ないようにしてください。
バランス崩して足をつくときにズボンの裾がステップなどに引っかかり、地面につけずに転倒の恐れがあるため。安全にいろいろ配慮して行ってください。
今回のテクニック講座 撮影を行った、愛知県岡崎市で開催
全日本トライアル 中部大会について
中部大会は開幕戦として4月3日に開催されました。※中部大会は年1回です。
https://www.mfj.or.jp/national/2022-tr-all-japan/rd1/
愛知県岡崎市にあるキョウセイドライバーズランドさんにて開催され、大会当日はあいにくの雨。今年は僕が参戦している国際A級スーパークラスのレベルが少し引きあげられているので難易度が倍増。19名中8名が一つもコースを出れないという大会に。僕もかなりの点数を取りました…。結果は2位となり悔しかったですが、残りの大会に向けて活動中です。
また地元中部戦として関係者やファンも多数で本当にありがたい試合でもありました。
※全日本選手権に関してはまた詳しくお届けしたいと思います。